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2022/11/25

こはまの宝物 〜深掘りシリーズ〜 続『寺田園茶舗』

構成・文/団田芳子

移転リニューアル!淹れたてお茶テイクアウトも


商店街の頼れるお茶屋『寺田園茶舗』さんが、同じ1番街の中で、ちょびっと住吉公園側へ移動してリニューアル。広くなったお店は、可愛いプラカップで美味しいお茶のテイクアウトもスタートしています。



アイスほうじ茶ラテ



生野にある創業100年超えの本店『銘茶問屋 寺田園茶舗』が、粉浜商店街に出店したのは2013年。店を守るのは3代目の寺田均さん。

実は、並びにある『聖月寿司』店主・足立和隆さんは大学時代の同級生。新店舗の看板は書道がお得意の足立さんの手になるものだ。



寺田園茶舗看板




広くなった新店舗では、テイクアウトをスタート。早速、オススメの抹茶カプチーノをいただいた。


抹茶カプチーノ




何と、お抹茶は、オーダー毎に茶せんを振って作ってくれるのだ。本格的なお抹茶の上に、フワフワのミルクの泡がのっかっている。濃厚な緑の甘みがふわりと広がる。それをミルクの泡が優しく包んで、美味しい!



3代目の寺田均さん




「普通は薄茶で作るんですが、うちは濃茶用の抹茶を使ってるんです」と寺田さん。

どこかのカフェなら600円はしそうな上質な味わいで、何と300円! 
プラカップの○にトのマークは、創業者で寺田さんの祖父・藤四郎(とうしろう)さんの名にちなんだ屋号なのだそう。




寺田園カフェメニュー




ほかにも焙じたての香ばしい焙じ茶で淹れるほうじ茶オ・レや和紅茶など、さすがお茶屋さんというクオリティーの高いお茶を250円~で楽しめる。

お買い物途中にテイクアウトして、住吉公園でちょっと一息つくのにピッタリ。






急須で入れたお茶



お茶の葉はもちろん、変わらず宇治の銘茶を中心に、普段づかいのガブガブ飲めるものから特別な日に味わいたいお茶まで各種揃う。



京都の宇治茶品評会の出品煎茶




いまのオススメは、京都の宇治茶品評会の出品煎茶だとか。

「茶師が合組(ブレンド)したお茶です。品評会では、味や香りはもちろん、茶葉の見た目から審査されます。茶葉の形が整っていて、青味や光沢がきれいでしょ。ずっしり重みもあり、すべるような艶があって」。



京都の宇治茶品評会の出品煎茶




通常は100㎏単位で作るところ、品評会用は数十㎏単位で、少量を渾身の技で作るのだとか。
確かに、この茶葉、只者でない気品を漂わせている。30g1300円。

高価だけど、急須で淹れて、ゆっくりと味わう時間は、心へのご馳走になるはず。



3代目の寺田均さん


1番街 10:00~18:00(火曜日は、~15:00)、木曜休み。




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2022/11/19

こはまの宝物 〜深掘りシリーズ〜『こころや』

構成・文/団田芳子

商店街の異空間。マニアックな着物好きの聖地


色とりどりの商品が並ぶ商店街の中で、モノトーンのシックな外観が異彩を放つ『こころや』さん。敷居が高いけど、中はどんなんかなー?と興味津々で潜入しました。


こころや外観



ガラスのはまった木戸を入ると空気が変わる。ふっと商店街の喧噪は遠のき、異空間に踏み込んだよう。呉服の『こころや』。

ちょっと前まで、レトロな町の着物屋さんという雰囲気で、子供用浴衣なんかも置いていたと記憶しているが。

「僕が継いだ当初は、そんな感じでしたね」と、5代目・名倉克典さん。



名倉克典さん





明治19(1896)年、西区で糸屋を始めたのを源流に、大正年間に中崎町の本庄公設市場へ。

「普段着の着物とかを扱ってたんやないかと思います」。 

昭和26年 こころや株式会社開設。天王寺を経て、昭和33年、粉浜商店街に店を構えたという100年を超える老舗。


2001年に、家業を継いだ5代目は、武蔵野美術大学を卒業し、歌舞伎の衣装のお仕事やインテリアデザイナーとしての経験も積んできたという経歴の持ち主。

「昔からお芝居や伝統芸能が好きでねぇ」と、はんなりした口調は、いかにも呉服屋さんって思うのは、こちらがイメージにハメ過ぎかしらん。 



スタイリッシュな店内




20数年前にお隣まで間口を広げ、2019年、今のモダンなスタイルにリニューアル。ちょっと入りにくい雰囲気を醸し出しているけど、「僕も人見知りやし…」とトボけた味わいの名倉さん。

「たとえば、街場の寿司屋がお客さんの要望でええネタを出すようになって、するとお客さんも店も口が肥えていき、ネタケースを置かない高級寿司屋に育つというのがあるでしょう。あの感じ」というたとえは、食べ歩きがお好きな名倉さんらしい。 

つまりは、レトロな町の着物屋が、商品を絞り込んで、アーティスティックな雰囲気に変わったわけだ。 




帯




店内は、入って右手に、木綿の着物などカジュアルなラインを。そこに合わせる個性的な帯は、商店街側の棚。インドネシアのエスニックな柄など、ユニークなものがいっぱい。

左手には、作家物やオールハンドメイドの高級ラインが並んでいる。 



インドネシアのエスニック柄の帯



バッグ




門外漢にはよく分からないけど、もの凄くオシャレでモダンでスタイリッシュな品揃えなのだろうことは分かる。

「僕の好きなものだけ置いてるんです。僕自身マニアックやしねぇ」。 

きれいなものに囲まれて育って、審美眼が備わっているのだろう。その上に、勉強も欠かさない。 

「昨年は西表、石垣、沖縄に織物を見に行ってきました。織り方、特色を学んでから発注したいから」。 



帯じめ




カラフルな品の中で、逆に渋さで目を引いたのは葛布帯。
「山野に自生する葛の蔓からとった繊維を糸に」織物に仕立てたものだとか。透明感と光沢が何とも不思議な魅力を放っている。



葛布帯




かと思えば、「これは西陣織りのネクタイの生地を組み合わせた帯ですね」という面白いものも。


「ここには、着物好き女子の夢が詰まってるんです」。 

基本は誂えで、名倉さんの採寸が上手だと評判だ。さらに、合わせ方なども、ステキにアドバイスしてもらえると喜ばれている。 

また、歌舞伎役者さんや人間国宝さんなど伝統芸能関係者にご贔屓が多いらしい。
「僕がその世界が好きやから、話が通じると口コミで広がったんかなぁ」。 




帯




お祝い返しに芸人さんが誂える手ぬぐいも扱っている。

「注染という染めの技術は明治時代に大阪で始まったんです。プリントとは違う味わいがありますよね」と、見せてくださったオリジナルてぬぐいは、名倉さん自身がデザインを手掛けている。

たこやき、「笑」、通天閣、お好み焼きのてこ、初辰猫さんなどをモチーフにした「大阪」シリーズは本当にキュート。 

てぬぐいは、大阪ミナミのお土産ショップ「いちびり庵」や、吉本興業の「なんば花月」で購入可能。 



こころやオリジナル手ぬぐい



5番街 10:30~18:30 お休みは水・木曜
出張イベント多数で臨時休業も多いので、
HP(http://www.cocoroya.com/index.html)を参照。1年間の予定が掲載されている。



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2022/10/28

こはまの宝物 〜うまいもん!深掘りシリーズ〜『聖月寿司』

構成・文/団田芳子

ネタも海苔も酢も上々。決してひいき目じゃございません!

7月の当ブログにて、お届けした『上を向いて歩こう 特別編』にて、大阪芸大の綿谷先生が、看板や店の佇まいを絶賛された人気のお寿司屋さんを深掘り!

聖月寿司



「鯖 松前ずし1本一五〇〇円」
「お好みにぎり全品350円均一」
「国産鰻使用うなぎ丼」…。


堂々たる墨文字の品書きが、店先を飾る。


筆文字のメニュー



「筆文字は僕が書きました」と、店主の足立和隆さん。書道歴は、寿司職人歴30年を上回る50年というからスゴイ。

ご自分の店はもちろん、同じ一番街の『寺田園茶舗』さんの看板も足立さんの手になるもの。これはもう職人技の域!



寺田園茶舗筆文字の看板




創業は昭和23年。

「西天下茶屋でお祖父ちゃん一家が始めて。当時は寿司だけじゃなくて仕出し料理もしてました。炭火で鰻を焼いたりも」という足立さんは3代目になる。

祖父母の家が上住吉にあり、子どもの時からよく来ていて馴染みがあった粉浜商店街に移転してきて、もう16年になる。


足立さんが、IT関連の会社勤めを辞めて、家業を継いだのは30才のとき。

「会社員の妻のはずやったのにぃ」と夫をちょっとニラんで見せつつ、持ち帰り用のパックを手際良く包むのは奥さんの良枝さん。

実は、この人、筆者の学生時代からの友達なのだ。そして何を隠そう、筆者は良枝さんと和隆さんの馴れ初めから、結婚式、ふたりの娘さんたちの成長記まで、全部知り尽くしているのデス。

そう、彼らの出会いは40年前、天王寺のハンバーガーショップ…おっと、これ以上書くと、ふたりが顔を真っ赤にして恥ずかしがるのでやめておきましょ。


聖月寿司の足立ファミリー



ともかく、長い付き合いの気易さから、「なんで会社勤め辞めて、寿司屋を継ぐことにしたん?」と和隆さんに訊ねたことがあった。

「うーん、色んな要素があるけど、結局、自分に挑戦したくなったからかなぁ」と。

そのチャレンジは、ここで見事に実を結んだわけだ。
『聖月』は、節分の日は、1000人近いお客様が殺到する大人気の寿司屋なのだから。


「家族の支えがあったから」と、和隆さんがしみじみ言う。

「良枝は家のこと、娘たちの育児、その上、店も手伝ってくれて、ほんまに感謝してる」と殊勝な言葉。
心底真面目な顔つきを見れば、妻の友人へのリップサービスではなさそうだ。

「母親や妹、時には娘も店を手伝ってくれてて、有り難い。家族が居てくれなかったらムリやった」。

和隆さんの母・美代子さんも毎日元気に店表に立って、明るく接客されているのだ。




入口ショーケース



そんな仲良し家族の店は、今日もお客様がひっきりなし。

店前には、様々なにぎり寿司や巻き寿司が手軽に買って帰れるショーケース代わりの冷蔵庫が。奥には、壁を飾る煤竹、畳ベンチが備えられた、落ち着いた雰囲気ある8席のイートインスペースも。


聖月寿司店内イートインスペース




「やっぱり出来たて、握りたてを食べてもらいたいしね」。

お好みで握るネタは40種も揃っている。足立さんが自ら、毎日東部と木津の2つの市場へ仕入れに出向く。

「ありもん使ったりせず、全部店で手作りしてるよ」。

鯛にウニ、カンパチやひらめ、赤貝につぶ貝など、1カン110円~610円のトロまで揃って、「回る寿司と江戸前の高級寿司の間くらいで、ちゃんと美味しいお寿司を出したいねん」という。

その言葉通り、上質で満足感の高い寿司が食べられる。いや決して友達のひいき目やないのですよ、これが。


お持ち帰り用寿司




例えば、エビ。昭和の子どもは寿司ネタといえば海老を争って食べたがったものだが、近ごろは海老の人気は薄いらしい。

「海外の養殖エビが多いからやないかな。ウチの天然エビは子どもさんたちも喜んで食べてくれるよ!」と自慢するのも頷ける美味しさ。

酢飯の酢加減も程良し。尾道産りんご酢をブレンドした合わせ酢を半月寝かせて使う。

「火を入れると、折角質の良いお酢を使ってるのに風味が飛ぶからね」と、寝かせてまろやかにしているらしい。




ランチのにぎりセット



お昼は店内で、サービスランチがいただける。にぎり8カンに吸物、小鉢付きで980円也(平日限定11時~14時まで。海鮮丼もアリ)。

この吸物がちゃんと美味しい。昆布とサバとうるめ節に、上カツオ節の香りも加えてあるとかで、だしの旨みが利いて、香りもいい。



巻き寿司



巻き寿司もオススメ。「ここの巻きは、しっかりした職人技を感じるね」とは、筆者の周囲にいる食通の評。知多産の海苔は上質で香りも上々、歯切れも良し。1度お試しのほどを。




『聖月寿司』(こはま日和 2022年7月8日 「上を向いて歩こう その5の2 特別編」↓↓↓


聖月店構え

1番街 9:00~19:00 火曜休み 年末年始休まず営業



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2022/10/21

こはまの宝物 〜うまいもん!深掘りシリーズ〜『うしや精肉店』

構成・文/団田芳子

ハレの日のご馳走ステーキならお任せ!サブスクもやってるよー!

今回は、商店街の老舗の1軒、昭和8年創業のお肉屋さんを深掘りしちゃいます。

うしや精肉店



「創業者は、うちの奥さんのオジサンで、奥さんの両親が継いで、それから僕。今は、次男の貴生が4代目修業中です」と、店主の福山雅之さん。 


実は、20年ほど前に、「あまから手帖」の商店街連載で、粉浜を訪れた際も、こちらに立ち寄り、レシピなどを豊富に作って、お肉に付けてくれるアイデアに驚いたものでしたが、あれから品ぞろえは大いに変化したよう。 



うしや精肉店伊賀牛



「4-5年前から伊賀牛をメインに据えてます」と福山さん。 

「お客さんから美味しいお肉があると聞いて興味を持ってたんですが、伊賀は流通が特殊でなかなか買えない。ようやく知り合いを介して仕入れできるようになりました。 

伊賀牛と一口に言っても生産者によって質は異なります。うちはほんの数十頭だけを大切に飼っておられる近藤牧場さんから入れてます」と、11㎏の巨大な肉塊をお披露目。サーロインだそう。 




伊賀牛



「A5とかA4などの等級より、サシがきれいに入った見た目より、食べて美味しいお肉を選んでます」とのこと。

 「それには血統、餌、肥育日数、そして誰が育てたかが重要なんです」。 

何と、毎月、片道1時間半の道のりを、伊賀まで仕入れに出向いて、毎月1頭分を買い付けてくるのだそう。さらに、その牛のホルモンも手に入ることがあるらしい。 


これは是非とも味わってみたい!! 




うしや号



常にもっと美味しい肉をとアンテナを張っている福山さん。 

豚肉も、「九州艶ポークを食べたとき、豚でもこんなに違いがあるのかと衝撃受けて」、早速、九州へ。 

『うしや』さんは行動する肉屋なのだ。 

「顔を見て話しをせんと分からんやん!」。 

そうして今は、艶ポークのほか、静岡県の国産マンガリッツァ豚、沖縄・石垣島の南ぬ豚(アグー)の3種を扱っている。 



うしや精肉店九州艶ポーク



それぞれどう違うの?と訊けば、即答。 

「艶ポークは旨みがスゴイ!キムチ鍋とかにいいね。マンガリッツァ豚は牛肉より赤身の味が濃い。しゃぶしゃぶにすると最高!アグーは、脂が一番優しいね」。 

そこで奥さんが「ブロック肉をローストして、パイナップル載せて食べたらもの凄く美味しかったってお客さんが仰ってましたよ!」と。 




うしや精肉店3代目



どの肉も、生産量が多くなく、大手スーパーなどには決して並ばない稀少なものだ。これが近所で買えるなんて誠に有り難い。

美味しい肉にまっしぐらに向かっていく福山さんを、 

「とにかく職人気質なんですよ」 

と言うのは、4代目修業中の息子・貴生さん。




うしや精肉店4代目



東京でネット関係の会社に7年半勤めた後、2021年より家業へ。そもそも家業を継ぐために社会経験とスキルを身に付けてきたというのだから出来た息子ではないか。 


貴生さんは、早速、得意のネットでお肉のサブスク『うしやMEATBOX』をスタート。精肉店としては珍しい試みだ。




うしや精肉店サブスクミートボックス



しかも、内容が振るっている。 


「毎月ステーキや切り落としが届くんじゃなく、肉屋ならではのテーマを決めて、楽しくて美味しいお肉たちを数種組み合わせてお送りしています」。 



たとえば10月のお届け予定は― 


・くまもとあか牛 フィレ サイコロステーキ  
・南ぬ豚 バラ しゃぶしゃぶ用
・国産マンガリッツァ豚 バラ しゃぶしゃぶ用
・伊賀牛 カレー・シチュー用
・熊本艶ポーク 肩ロース(ブロック)
・特製サラミ/チョリソー


大人2名用10000円(税、送料込み) 
もちろん、母による料理レシピ付き!


歴史ある老舗だが、新しいことにもガンガンチャレンジしている『うしや精肉店』であった。




うしや精肉店




1番街 9:00~19:00 お休みは木曜と、月に1度水曜。



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2022/09/30

粉浜の宝物 再発見!「鷹の爪」と粉浜物語 ~後編~

構成・文/団田芳子

社報『住吉っさん』38号を読んでビックリ。
あの“鷹の爪”と、住吉界隈に繋がりがあったとは!
絶滅危惧種・鷹の爪の物語、復活編をお届け。


どれが鷹の爪でしょう?


さて、前回の問題。
この中のどれが鷹の爪でしょう? 
そう問われて面食らわない人がどれくらいいるだろう。

答えは、中央。


実は、いま“鷹の爪”として流通している99%が外国産で、しかも他品種なのだそう。

ちなみに、左から本鷹(ほんたか)、三鷹(さんたか)、鷹の爪、天鷹(てんたか)、益都(えきと)という種類。

本鷹、三鷹は鷹の爪と同じく日本生まれで、三鷹が中国に渡って天鷹に。

最も大きな益都は糖度が高く、キムチによく使われる品種。

三鷹と天鷹は収量が多く、辛みも強いので、世界を席巻しているらしい。


鷹の爪は、小さく可憐な姿をしていて、香りは果実のように甘く、辛みはキレがよく、鋭いのが特長。

やまつ辻田


以上、ウンチクは、全部、和風香辛料の老舗『やまつ辻田』の4代目・辻田浩之さんの受け売りデス。


やまつ辻田


辻田さんは、190㎝、剣道7段、トレードマークの作務衣姿は、武士のように見えるカッコイイお方。
デパートの催事で、作務衣姿の大男がゴリゴリと石臼を挽きながら、香しい匂いを放ちつつ、ハスキーボイスで香辛料を物語るのを見たことがある方もしらっしゃるかもね。





『やまつ辻田』は、堺市の福田にある。

やまつ辻田


西高野街道沿い、長い築地塀に白壁の土蔵、門前の石灯籠も立派な屋敷が辻田家だ。
明治35年から和風香辛料を製造販売している。
地元・福田も、昭和30年代までは鷹の爪の一大産地だったとか。

辻田家では、その種を100年以上に渡り、大事に継承してきた。
辻田さんの畑に行くと、小さな赤い花がたくさん咲いているーと、見えたのは、
天に向かって実をつけた鷹の爪だ。

やまつ辻田


7月にごく小さい白い花が咲き始め、緑の実になり、赤く熟すのには「30度の日が30日必要」だそう。
収穫は真夏から霜が降りる11月半ばまでだ。


収穫のお手伝いをしてみた。

30㎝ほどの高さの木の前に座り込んで、1つ1つ実を採る。
プチンと手折るのは、なかなか小気味よい。

だけど、1キロ収穫するのに3時間はかかってしまう! 1キロは選別して乾燥させると300gにしかならない。


「三鷹ならワサーッと8房に成っているから、根元から引いて、おだ掛けにして実を採るので、量が取れるんですよ。単性の鷹の爪は手間が倍以上で、採算も取れない。それで栽培をやめる農家が多かったんでしょうね」と辻田さん。

現在は、種を分けて、奈良、和歌山、京都、長野などで、少量ずつ栽培してもらっているという。



やまつ辻田


収穫したら、自宅横の工場で選別。

粉にする分は、石臼でついて、ふるいにかけて、鉄鍋で焙煎して、ようやく真っ赤な粉になる。

『やまつ辻田』の“極上大辛鷹の爪一味唐がらし”なら、鷹の爪の果実のような香りと切れ味鋭い辛さを味わえる。

七味にも、もちろん鷹の爪が入っている。

ほかに、実が成るまで20年を要する実生の柚子、四万十の青海苔、目が覚めるほど清々しい香りと辛みの山朝倉山椒など、プレシャスな7つを絶妙のバランスで合わせてある。


素晴らしい香りは、まるで和のアロマだ。



やまつ辻田


そんな稀少な鷹の爪を使った七味や、鷹の爪の小瓶や小袋などが商品化されている。

袋を開けて、香りを嗅ぐとほんとにウットリしてしまう。

いつものお家のうどんが、ビックリするくらいのご馳走に変身するほど!


『やまつ辻田』は、日本でも最高の和風香辛料の店として有名で、「うどんの今井」「美々卯」などで卓上に置かれているし、阪急、阪神、高島屋などデパートでも販売している。

小袋は、裏に切手を貼って小粋なハガキ代わりにもできるという面白い趣向。




さて、前編で紹介した住吉大社の社報『住吉っさん』38号の記事は、「このトウガラシ“鷹の爪”のDNAが受け継がれた、なにわの伝統野菜“堺鷹の爪”が再び住吉街道の賑わいの立役者になるという夢物語が浮かんだ」―と結ばれている。


住吉大社の門前町・粉浜で、“鷹の爪”がまた、魔除けや厄払いに、お料理に、お参りの土産物として、並ぶようになったら。ピリリと上品な辛みが粉浜の名物になったら、いいなぁ。

ともあれ、まずは、その上品な香りや高貴な辛さを体感していただきたい。


というわけで―!


10月から、商店街の3つのお店で、やまつ辻田の七味を数量限定で販売します。

ぜひ、お試しを。





『やまつ辻田』


やまつ辻田

和風香辛料の専門店。鷹の爪のみならず、胡麻、山椒、柚子、柚子胡椒、柚子ポン酢など、ピカイチの商品がいっぱい。それぞれに深い物語があります。
ホームページを覗いてみてください。また、ゲストルーム「道」では、さまざまな和風香辛料が紹介されています。詳しくはお問い合わせを。


やまつ辻田
堺市中区福田280 
問い合わせ 電話072-236-1223





★粉浜商店街で買えます!
大阪府認定・なにわの伝統野菜・堺鷹の爪が入った、『やまつ辻田』の七味 販売どころ


『Side dish わ』(5番街)

こはま日和 2021年10月2日「粉浜の宝物~第1弾で紹介」

サイドディッシュわ


栄養士の資格を持つ若林さんが、毎日手作りするお惣菜のお店。
きれいで見やすいショーケースには、サバの味噌煮やポテサラなど、バラエティーに富んだおかずが15種も揃っています。
近ごろは棚にコーヒーや紅茶も。
そこに七味も仲間入りします。

5番街 10:00~16:00か17:00、木曜、祝日休み





『寺田園茶舗』(1番街)

こはま日和 2021年10月2日「粉浜の宝物~第1弾で紹介」
※移転してお店が変わっています

寺田園茶舗

粉浜の頼れるお茶屋・寺田さんが、1番街のはじっこから、今年2022年より少し公園よりにお引っ越し。広くて立派なお店になりました。

7月からはカフェもスタート。
水出し緑茶に、茶せんを使って点てた抹茶や、抹茶オレなど、
100円~300円でテイクアウトやイートインできます。
淹れたてのお茶の美味しさは格別!香り、味わいに癒されます。
お茶のついでに七味も買ってみて! 


1番街 10:00~18:00(火曜日は~15:00)、木曜休み





『すし聖月』(1番街)

こはま日和 2022年7月8日「上を向いて歩こう その5の2 特別編で紹介」


寿司聖月

「お寿司も美味しいし、看板の文字がいい」とみんなが褒めるお寿司屋さん。
店主の足立和隆さんは、寿司を握って30年、そして書道歴は50年!看板、幟やメニューも足立さんの手書きなんですって! 
節分には1000人を超すお客様がいらっしゃる大人気店。
テイクアウトが中心だけど、お店に落ち着いたイートインのスペースもあります。
お寿司と一緒に七味も、いかが?


1番街 9:00~19:00 火曜休み



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