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2022/06/24

上を向いて歩こう5

『出没!アド街ック天国』観ていただけましたか? 

粉浜商店街入り口


あ、あの店、あのオッチャンが映ってる!とお馴染みの場所や人がいっぱい登場しました。
一方で、案外地元の人間が「へぇ」と思うようなネタもあったりして、面白かったですね。

商店街にも遠方からのお客様も大勢いらしたようで、「『井川とうふ店』はどこですか?って何十人にも訊かれましたわー」と案内嬢役を務めた『すし聖月』の女将さん。

『おかずのじゅん』のじゅんさんは「僕が映ったのはほんの5秒くらいやのに、おからがホンマによぉ出まして。いつもは1週間に1度炊くのに、1日に2回炊いても間に合わないくらい大忙しでした」と嬉しい悲鳴。

ゴールデンタイムの全国放送の影響力、凄まじいですね。




“上を向いて歩こう” その5
構成・文/団田芳子

 さて、今回は「上を向いて歩こう」特別編。
看板のオーソリティをお迎えして、商店街の看板を見て歩きます。


粉浜商店街



 ゲストに迎えた綿谷 登さんは、大阪城近くの某テレビ局のプロデューサーとして人気番組を数々手掛け、また大阪芸術大学で客員教授として「劇空間デザイン」「アートマネジメント」などを指導しておられる方。

というとお堅い先生かと思いきや。

実は針中野生まれの看板屋の息子さん(家業は弟さんが継いでおられるとか)で、

「昔、映画館の入り口の上にでっかい手描きの絵看板が掲げられたでしょ。親父はあんなんを若い頃手掛けてたようですわ」と大阪弁で軽快に話す気さくな方です。 

綿谷登さん


 『上を向いて歩こう』企画のことをお話しすると、
「それは面白い! 下町の商店街、大好きです!『やろく』さんにコロッケを食べによく行きましたよ」と気軽にお出ましくださった。

その目に粉浜商店街はどう映ったのでしょう。
 
1つ1つの看板に向ける目の付け所にビックリしたり、街の景観、町おこしに繋がるアイデアなどもあふれ出す綿谷さんのお話しを2回に渡ってお届けします。




南海本線粉浜駅側から突入! 
わいわいロードを入ってすぐの『居酒屋 一(かず)』の一升瓶型の陶器の看板にビビッと反応する綿谷さん。

居酒屋一(かず)


「これはいいですねぇ。店内の雰囲気をイメージさせる。隣の竹も中に灯りを入れて竹燈りにするのもいいんやないかな。竹は今嫌われ者で手に入りやすいですよ」。

 えーと『上を向いて歩こう』企画なのですが…。

「看板は必ずしも上につけなあかんわけやないですからね。ファサードをトータルで見ましょう。看板は主役か脇か。どっちもアリですよ」。




合流点の広いスペースに足を止める。



粉浜商店街ファサード


「ここはもったいないですね。天井も高いしイベントなどできるように作ったのかな。すぐ横に小学校があって子供らが通るなら、子どもが遊びに来る場にしたらどうでしょうね」。





一際明るい雰囲気の『牛良』※詳細は2021年10月15日に)は「テントが可愛らしいですね」。

牛良


ちょうど店先に居た2代目が「ああ、これは太陽光がショーケースに反射して商品が見にくいとオジイチャンが付けたもんです」とニッコリ。

「実用とともに大事なポイントはテントの下にいるとショーケースに集中させることができる点。

例えば天井の高い寄席はないんです。天井が低い方が話芸に集中する。フィスティバルホールなどで落語はやらないでしょ」。

へぇ、なるほど。

「それに、1枚でなく三ツ羽になってるのがいい」。これは隣の店2軒分、後から広げたためらしいが、「同じ赤いテントが3つ続くことで1軒のお店という繋がりが作れてるんですよ」。






 粉浜商店街5番街に出ると、綿谷さんの目を奪ったのはやはり漬物の『とみい』の看板(※4月15日の記事参照)。

漬物とみい


「立派な木ですね。これ少し下を向いてるでしょう。仏像と同じで、この傾きが語りかけてくるんです」。

よく見れば、多くの看板がやや下に向けて…語りかけている。

「奥の2枚もいい味出してますやんか。それに床柱に使うような柱とタイルも可愛いなぁ」。






荒物の『ヤスダ』のイラストや呉服の『こころや』の世界観の表現、宝石の『ジュエル菊川』の遠近法を活用したファサードなど「いいなぁ、愉しいなぁ」とご機嫌の綿谷さん。


荒物ヤスダ



ジュエル菊川







 『サイドディッシュわ』※詳細は2021年10月2日)では、

「電球がいいね。スポットライトより遙かにいい。奥に向けてあと3コほど電球つけたらぐっと店内に引き込めると思いますね」。

サイドディッシュわ







そして、手打ちうどんと中華の『みやこ・広州』の前で。

「手打ちうどんの打ち台の前に小麦粉の大きな袋が積まれてある。大切なうどんを作る行程を想像させるし、お店を舞台に見たててる。エンターテインメントを感じます」。

みやこ・広州


そして「バリアフリーにした入り口、手摺りまでつけててお年寄りにも優しいですね。
『あの店は私らを大事にしてくれてる。また行きたい』と思わせるでしょう。演歌歌手のポスターとかもあって、この店の方は言いたいこと、表現したいことがいっぱいあるんでしょうね。アイデアを山ほど感じます」






4番街に入ると、鮮魚の『赤吉』※詳細は2021年10月15日に)の鯛の絵の木看板を絶賛。

鮮魚赤吉






蒲鉾の『山久』の「暖簾と店舗の雰囲気が一体化していいですね。レトロな配電盤もいい」。

蒲鉾山久


「いやもう古くて恥ずかしいわ」と仰るお店の方に「いやいや僕ならこの配電盤にオレンジのスポットライトを当てたいくらい。奥の機械も電球を吊って見せたいですよ」。






さらに『おかずのじゅん』※詳細は2021年10月2日)では、「可愛いカーテンから覗く背の高いお兄ちゃんの笑顔がトータルで看板になってますね」。

おかずのじゅん





そして子供服の『こびとのクローゼット フジヤ』の前で
「いやぁ、これはいい!」と綿谷さん。遊園地がコンセプトと聞き、「うん、店先に並んだ靴までお伽の国の靴のように見えてきます。壁も温かいオレンジ色で、全体にテーマパークのよう。よく出来た店舗ですね」。


こびとのクローゼット フジヤ





 さてこの後、2番街1番街ではどんな看板が綿谷さんのハートを捉えたのか。また粉浜商店街総評もお聞きします。次回もお楽しみに。



綿谷 登 さん 
大阪芸術大学客員教授、舞台美術家、一般社団法人・日本舞台美術科協会理事 西日本支部長







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