こはまの宝物 〜うまいもん!深掘りシリーズ〜『栄来軒』
構成・文/団田芳子
赤い暖簾を潜って入れば、赤いカウンターが細長い店の奥へと続く、THE町中華。
創業67年。
「おじさんが始めて、オヤジが引き継いで、アニキ、そして僕が4代目」
とマスターこと藤本卓也さん。
「27才で入って、もう66才!申年です!」。
お、お若い!「何座か訊いて」。
へ?えーと何座ですか?
「ギョウザ!」ああん、ヤラれた。
店内にテレビ番組に出演したマスターの勇姿が、でかでかと貼り出されている。このトーク力は、テレビで引っ張りだこになるのも頷ける。
いやいや、トークのみならず、でかい中華鍋を振るうお手並みも鮮やか。
「小学生の時から、鍋振ってたからね。学校に行く前にこの厨房で炒飯作ってみたりしてね。
『あれ?お前こんな朝早くから何やってんねん!』ってオヤジがビックリしてたな」
と思い出話を披露しながら、チャチャッと手際良く炒飯完成。と思ったら、大きなカニ身を載っけている。
これが名物・カニ焼き飯1500円也。
私のホームベース『あまから手帖』にも2011年に掲載されているあの味、健在。
「ロシア産のズワイガニ。丹後に知り合いがいて、そこからカニを入れてみたこともあるんやけど、日本のはなんでかしょっぱいねんね。ロシア産の方が、うちの炒飯には合うから」。
世界情勢的に確保が難しいけど、ちゃんと卸の店が「入れます!」と約束してくれているらしい。
そのぶっといカニを巨大な蒸籠で蒸して、手で身をほじほじと丹念にほじくりだす。
ひと皿に結構な量のカニ身が入る。
優しい味わいの炒飯にふわりとカニの甘みが存在感を放つ。
こちらも大人気だとマスターのオススメは酢豚950円。
アラ、上品。
「軟らかいでしょ!冷凍じゃないヘレ肉使ってるから」。
通常手頃な価格の豚バラや肩ロースが多いけど、ヘレを使うのがマスターのこだわりどころらしい。
甘辛いあんも強すぎない、程よいあんばい。
焼き餃子も!
これは次回に取っておこう。
昼も夜も、次々にお客さんがやってきて、賑やかな町中華。下町に1軒は絶対存在していてほしい店だ。100年までがんばってね!
栄来軒
東粉浜3-29-5
11:30~14:00、
17:00~20:30止、
火曜定休。第3月曜または水曜も休み
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