粉浜の宝物 再発見!「鷹の爪」と粉浜物語 ~前編~
構成・文/団田芳子
社報『住吉っさん』38号をご覧になりましたか?
『蘇れ!住吉街道の賑わいの立役者「唐辛子 鷹の爪」』という記事を見てビックリ! あの“鷹の爪”と、住吉界隈に繋がりがあったとは!
“あの”と付けたいほど、鷹の爪は極めて稀少なモノです。
え?どこにでも売ってる?
あ、皆さん、赤いトウガラシは全部、鷹の爪だと思ってませんか?(私も数年前までそう思ってましたが)。
実は鷹の爪って、何百とある唐辛子の1種。そして国産純粋種の鷹の爪は絶滅危惧種なんです。
そんな稀少な鷹の爪の物語を前後編にてお届けします。
参勤交代の行列が粛々と進む。その背景に描かれた、土産物屋の軒先に、赤い“鷹の爪”の束が吊り下げられているのが見える。
(紀州藩参勤交代行列図巻 堺市博物館所蔵、提供)
ここに描かれている場所は、住吉街道。
「住吉っさん」38号のくだんの記事は、元大阪府立食とみどりの総合技術センター主任研究員で、農学博士の森下正浩さんによるもの。今はなにわ伝統野菜応援団員でもいらっしゃるよう。
記事によると、住吉大社権禰宜の小出英詞さんは、
「住吉新家・安立町などの街道筋では、秋になると根引きトウガラシの束を魔除け、厄払い用といった縁起物に、トウガラシ粉や実は料理・薬味用にと売る土産物屋が軒を並べていた。そして、それは涙が出るほど辛い“鷹の爪”品種であった」
とのこと。
その証拠として前述の、江戸後期の『紀州藩参勤交代行列図巻』が掲載されているというわけ。
ここに描かれている江戸時代、大阪の市場では、黒いイボイボがいっぱいの毛馬キュウリや、丸っこい田辺大根、平たくて小ぶりだけど肉質はきめ細かい天王寺蕪などが並んでいたはず。
それら大阪の地野菜は、ほぼ1度姿を消している。
害虫に弱かったり、大阪の都市化に伴い、農地が宅地化されたり、形が揃いにくくて流通に乗らなかったり、色んな理由で絶滅しかかった野菜たち。
それを、森下さんら農学博士と、「あの美味しい野菜をもう1度」と望む料理人、生産者の協力で復活!
まぁ、まだ市場にいっぱい並ぶほどではないけど。
いま、大阪府が「なにわの伝統野菜」として認証しているのは、聞いたことがある方もいらっしゃるだろう。
「なにわの伝統野菜」の販売イベントは各地で開催されているし、なにわ割烹とか大阪料理を謳う和食の店や、気の利いた居酒屋で、料理に使われていたりもする。
ご興味あれば、『浪速割烹 㐂川』の創始者・上野修三さんによる文と絵で綴られた『おいしい野菜図鑑』(西日本出版社・刊)など、ご参考に。
優しいシャベリ口調の文章も読みやすく、すべての野菜に3つ4つの一行レシピが付いてくるのもお得感アリ!
鷹の爪も、安立町で特産品と言われるほど、たくさん生産されていたのに、毛馬胡瓜や天王寺蕪とほぼ同じ運命をたどり、幻に…。
なるはずが、ふっかーっつ!
2021年に、なにわの伝統野菜に仲間入りを果たしたのだ。
次回は、その復活物語をお届け。
その前に。
問題です。
この中のどれが鷹の爪でしょう?
答えは後編で!
ヒントは。
江戸時代の天才、医師で発明家で学者の平賀源内先生に出してもらいましょう。
源内先生が、72の唐辛子について書いた本の中で、
鷹の爪は―
「甚だ小さくして、盆栽として愛でられるほど、愛すべき風情」
「食するには、これを第一とすべし」
とメッチャ推してマス。
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